基調講演:プロフィシェシー研究の魅力とインパクト
鎌田修(日本語プロフィシェンシー研究学会会長) |
プロフィシェンシーとはそもそもはアチーブメント(達成度)に対立するテスティングの用語であり、習熟度、熟達度などと訳されることが多い。しかし、外国語教育学の発展に伴い80年代以降この用語はさらに一歩踏み込んだ意味を持ち、外国語に対する知識の量ではなく、外国語が「できる」という、その度合いを意味するようになってきた。本講演では「現実生活における外国語使用能力(=できる)の度合い」という考え方の持つ意味を具体的に示す。OPI (Oral Proficiency Interview 面接型口頭能力測定)を筆頭に、リスニング、リーディング、ライティングのプロフィシェンシー、さらに、プロジェクトワーク、タスク重視の教授法(TBLT)、内容言語統合型学習(CLIL)などの総合的な外国語学習法に加え、プロフィシェンシー研究の基盤である接触場面分析について考察し、新たな日本語教育研究の広がりを提唱する。
・昭和24年丑年(1949年)生まれ
・1986年 マサチューセッツ大学大学院博士号取得(教育学)
・1977 年– 1992年 米国アムハーストカレッジ、アリゾナ大学、ミドルベリー大学等にて教鞭
・1992 年– 2002年 京都外国語大学日本語学科教授
・2003 年– 2018年 南山大学日本文化学科教授、定年退職、現在同客員研究員
・『日本語の引用』(単著2000,ひつじ書房)
・『日本語教授法ワークショップ―ビデオ付き―』(編著1996,凡人社)、
・『プロフィシェンシーを育てる―真の日本語能力をめざして―』(共著2008,凡人社)、
・『プロフィシェンシーと日本語教育』(共著2008,ひつじ書房)
・『対話とプロフィシェンシー』(共著2012,凡人社)
・『談話とプロフィシェンシー』(共著2015,凡人社)
・『新・生きた素材による中級から上級への日本語』(共著2012,ジャパンタイムズ)
・『生きた会話を学ぶ「中級から上級へのなりきりリスニング」』(共著2016,ジャパンタイム)など